

今回は、KIS☆プロジェクトの第1弾コンテンツとして「ゆうえんち」にオープ
ンしている、「なかまさがし」ゲームの途中経過を御報告します。
「なかまさがし」ゲームは、子どもが「ことばとモノの対応関係」を習得すると
き、どのような点に注目しているのかについて知ることをねらいとしています。
スタートから1か月の時点でなんと約4000人のお子さんが参加してくださいまし
た。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。
赤ちゃんの研究をしているラボ(実験室)でおこなわれた乳幼児研究で、
これまで1000名以上のお子さんが参加したものは、あまりありません。
インターネットを利用した実験として、この「なかまさがし」ゲームは画期的な
試みであったといえます。
では、みなさんにご協力いただいた“データ”から何が見えてきたのか?
東京大学 開研究室:旦直子さん、菊川道一さんにご説明いただきました。
ことばとモノの対応関係 ~「リス」はなんで「リス」なのか?~
「なかまさがし」ゲームは、子どもが「ことばとモノの対応関係」を習得するとき、どのような点に注目しているのかについて知ることをねらいとしています。ことばとモノの対応関係とは、例えば「リス」ということばがどのようなモノを指しているのかということです。子どもたちは、この対応関係を、大人から一つ一つ詳細に教えられることなく、普段の生活の中でたやすく学習してしまいます。このことは当たり前のようですが、よく考えてみると実は意外と難しいことに気がつきます。例えば、母親が初めてリスを見る子どもに対して「リスさんだよ」と目の前のリスを指して語りかけたとしましょう。このとき子どもは何をリスだと考えるでしょうか。可能性だけで言えば、茶色いものをリスと考えたり、小さい生き物全般をリスと考えたり、大きなしっぽのことをリスと考えたりしてもよさそうです。しかし子どもは、リスということばを、リスというモノ(動物)と正しく対応付けるようになるのです。不思議ですね。子どもたちは、新しい「ことばとモノの対応関係」を学習するとき、いったい何に注目してその対応関係を学習するのでしょうか。
「なかまさがし」ゲームについて
「なかまさがし」ゲームでは、最初に「ネケ」と名づけられた図形が出てきます。その後、別の3つの図形が現れます。お子さんには、3つの図形の中から「ネケ」の仲間だと思うものを選んでもらいました。

①「ネケ」と“形”が同じだが、色や動きがあるものとないもの。
②「ネケ」と“色”が同じだが、形や動きがあるものとないもの。
③-1 「ネケ」と“動き”が同じだが、形や色が違うもの。
③-2 「ネケ」と、形・色・動きのあるなしが、すべて違うもの(“その他”)
(①②は全員共通ですが、③については③-1が現れるか③-2が現れるかはお子さんによって異なりました)。
今回の研究では、子どもたちがパソコンの画面を通してあるモノを見せられ、その仲間を選ぶ際、“形”に注目するのか、“色”に注目するのか、“動き”に注目するのかを調べました。子どもたちはどのような点に注目して「ネケ」の仲間を選んだのでしょうか。
結果発表!
今回は、お子さんが「ネケ」の仲間として一番最初にどの図形を選んだかに着目して分析を行いました。統計学的な分析に十分なデータが揃った1~6歳の結果をご報告します。
右の図は、「なかまさがし」ゲームにご参加いただいたお子さんの人数の割合を年齢別に表したものです。3歳、4歳、2歳の順に多く、特に一番多かった3歳児では、なんと800人を超えていました。また、「なかまさがし」ゲームの使用回数は延べ25000回を超えました。改めてたくさんの親子の皆さんに参加していただけたことに感謝します!
①“形”が同じ図形、②“色”が同じ図形、
③-1“動き”が同じ図形の場合:
1~6歳までのすべての年齢のお子様において、“色”や“動き”よりも”形”を選ぶ傾向が有意に大きいことが分かりました(図2)。

①“形”が同じ図形、②“色”が同じ図形、
③-2形も色も違う図形(“その他”)の場合:
1~6歳までのすべての年齢のお子さんにおいて、“色”や“その他”よりも“形”を選ぶ傾向が有意に大きいことが分かりました(図3)。また、2、3、5、6歳のお子さんにおいては、“形”に次いで、“その他”よりも“色”を選ぶ人数が多いことが分かりました。

▼子どもたちは“形”に注目して仲間を選んでいた
どの年齢の子どもたちも、「ネケ」の仲間と判断する基準として“形”に注目する傾向が大きかったことが示されました。子どもたちは、“形”が同じものを仲間として判断していたようです。また、“形”を選ばない場合でも、“その他”のように最初に出てきた「ネケ」とは全く共通点のないものより、“色”などの共通点があるものを選択する傾向も見られました。ゲーム公開前には、もっと“動き”に注目する子どもたちが多いのでは、と予想していたのですが、今回は「ネケ」の仲間の選択基準として“動き”を重要視する結果は得られませんでした。
ところで、今回はパソコンの画面を通して実験を行ってもらったため、「ネケ」もその仲間も二次元でしたが、実物(三次元のモノ)で行うとどのような結果が得られるのでしょうか。今回のゲームと少し手続きは異なるのですが、同じような仲間探しゲームを実物を用いて行った研究があります(Imai & Haryu, 2001)。この研究実験では、2歳児と4歳児に、目新しいモノを「これはネケよ」と言って提示した後、その目新しいモノを含めた5つの候補の中からネケの仲間を探してもらいます。その結果、2歳児も4歳児も、大きさや色といった属性よりも形に着目して仲間を選んでいたことが分かりました。たとえ大きさや色が違っていても、形が同じならば同じ仲間とみなすようです。このように、形に着目して仲間分けをする傾向は形状類似バイアスとよばれており、子どもが言語を習得していく上での重要な機構と考えられています。今回の実験結果からも、この形状類似バイアスがはっきりと見られたことが分かりました。
解析:旦直子、菊川道一(東京大学開研究室)
引用文献
Imai, M. & Haryu, E. (2001) Learning proper nouns and common nouns without clues from syntax. Child Development, 787-802.


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